無間札幌




こんにちは、あなたの人生のなかにびっしりと蝟集している皆さん。増殖していますか? 激しくのたうって、もうとっくに夜が来ているのに、眩しい、眩しい、と、叫んでいますか? どんな光も全くない、深い深い闇のなかで、眩しい、眩しいと言って、泣いて、叫んでいますか? いつか全部が終わる時が来る。もうとっくに来ていて、すべてが後の祭りである可能性も排除されていない。なのに、もうとっくに終わってしまっている叫びを叫んでいますか? どこにも届かないと、どこかで知っていながら?

 

僕もそうだ。お互いにちっとも嬉しくないと思うけど。恐怖の叫びを上げる前に、たくさんの時計をぶちこまれて塞がれてしまった口なんだ。

 

 

これを読んでるお前は、札幌に住んでいるんだと思う。すべての人間は札幌に住んでる。それは、それがこの世のものでも、あの世のものでも、どっちでもいいような街だ。道を歩いているやつの半分が幽霊でも、全部が幽霊でも構いはしない。何の違いもない。しまむらやGUで買った服を着ていようが、裸でげろにまみれていようが、そんな違いには誰も気が付かないだろう。ただ時間が流れる時間が来たから慌てて動き出したが、ちょっと気を抜けばまたぐうぐう寝てる、そんな程度の街だ。ごみだ、まったくの、「街ごみ」として廃棄された、街だ。

 

そこで生きてる。豚でももうちょっと上手にやるかもしれない程度の仕事をしながら。例えば、仮面を組み立てて、それを仮面にかぶせて、そしてその全部を叩き壊して、風見鶏と、ケチャップをかけすぎて真っ赤になったのにもっともっとケチャップをかけたハンバーガーと練り合わせて、その残骸を何の罪もない子供に無理やり食わせるような仕事がそこにはある。

その子供は涙をためて、怒りはもっとためて、大きくなり、お前たちよりもっと大きくなり、そして……仮面を組み立てて、それを仮面にかぶせて、そしてその全部を叩き壊して、風見鶏と、ケチャップをかけすぎて真っ赤っ赤になったのにもっともっとケチャップをかけてもっともっとケチャップをかけて、かけてるそいつ自身も真っ赤っ赤になっちゃって真っ赤に真っ赤に染め上げて月のように赤くもっともっと赤くもっとだ、もっともっと! もっともっと赤く! 赤く! 赤く! 赤く! まだ足りない! 赤! 赤! 赤! 赤! 赤だ、赤、赤を、さらに赤、もっと赤! そんなハンバーガーと練り合わせて、その残骸を何の罪もない子供に、食わせる。

 

なあ?

 

俺もお前も、そんなもんだろ、札幌に生きてるやつは、知ってるだろ。でも、冬には、雪が降りる。真っ赤になった、目も当てられないほど真っ赤になったはずの大地を雪が覆い尽くす。俺たちはその下に埋もれて消えてゆく。一面が白くなる。白く、白く。あとには何も残らない。雪の下に埋もれた俺たちの体に、何か得体の知れないものがはびこって、そして次の季節を待つ。次の時間が流れる時間になるのを。次の深い深い闇がやってくるのを。次の恐怖の叫びを上げるための口がふさがれるのを。

 

でも、冬の間は白い。

ただただ、白い。

 

札幌はそんな街だよね。

 

 

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